Cさん(47歳)は、照明機器のコンサルティング兼営業を行っています。簡単に言うと、LED照明器具に切り替えることで節電しましょうという提案を個人や法人に行い、実際にLED照明器具を買ってもらうのが仕事です。

「年収を上げたい」一心で転職、転職、転職

LED照明器具の価格は、そうでない照明器具に比べると高額なため、LEDに切り替えるには初期コストが非常にかかります。しかし、切り替えてしまえば消費電力を抑えられるので、電気代は安くなります。

Cさんは、初期コストを抑える提案を行い、切り替えたあとのランニングコストが下がったうちの数%を歩合給としてもらうのです。

実は、Cさんはこの会社が7社目で、大学を卒業して最初に入ったのは、中規模の証券会社でした。ここで、個人向けの証券営業のノウハウを叩き込まれます。営業で実績をあげられるようになった6年目、以前一緒に働いていた先輩に誘われ、さらなるキャリアアップを目指して転職を決意します。28歳のことでした。

転職先は、先輩がマネジャーを務める証券会社。企業規模はほぼ同じ。約3年間勤めたのち、この会社が業績不振になったのを機に、31歳で不動産会社に転職します。

その後も3~4年ぐらい勤めたのちに転職するということを繰り返し、47歳で7社目。職種は、ほぼ個人向けの営業です。業界は、証券業界に約8年、不動産業界に約14年。

企業規模はだんだん小さくなっていますが、その分、役職は上がり、営業部長という名刺になったこともありました。部下は3~5人で、もちろん管理するだけでなく、自分も営業を行います。

Cさんの話を聞く限り、Cさんには、「年収を上げたい」という思いが強くあり、そういう話に心を動かされて転職を繰り返してきたと言えます。実際に年収が上がることもありましたが、会社の業績が悪くなると年収を下げられ、給料の遅配なども経験しました。

こう言ってしまうと少し厳しいかもしれませんが、「隣の芝生は青く見える」という言葉通りに、実際に行くとそれほど青くはなかったということを何度も繰り返しているように見受けられました。

「どこかにある高給」という名の青い鳥を探し続けて転職するけれども、やっぱりここにもいなかった――これが、Cさんの転職パターンです。

転職回数は増えれば増えるほど不利に

今現在の転職マーケットでは、転職を繰り返す人に対しては厳しい目が向けられています。転職の回数が増えれば増えるほど、転職に不利になると言っても過言ではありません。

現在、転職先を探しているCさんは、転職の回数も多く、年齢も上がっているので、以前に比べて転職が不利になり、転職先の選択肢が少なくなっています。

その結果、常に営業担当者が不足している住宅、不動産、生命保険などの営業職に転職先が限られてゆき、営業以外の仕事を探したとしても、パチンコのホールマネジャーやタクシードライバーなど、人気のない職種しかない状況です。

また、「固定給型」の仕事の選択肢がどんどん減っていき、選択できるのは、結果を出さないと給料がもらえない「歩合給型」の仕事ばかりです。

資金があれば、フランチャイズのオーナーにもなれますが、ある意味フランチャイズのオーナーは自営という名の究極の歩合給型の仕事だとも言えます。

フランチャイズで一番規模が大きいのがコンビニエンスストアで、土地をもっているパターン、レンタルのパターンなど、いろいろなバリエーションがありますが、2000万円から3000万円の元手となる資金が必要になります。

初期投資があまりかからない、ライトなフランチャイズとしては、出張車洗いサービスや仏壇洗いサービス、鍵の一一〇番などがあります。軽ワゴン一台と道具を一通り買えば、商売ができます。

少々話がそれてしまいました。Cさんの話に戻りましょう。Cさんは現在、8社目の転職先を探しています。私のところに相談に来られた際、7社目を辞めたい理由は何かと聞いてみたところ、「社長とそりが合わないから」ということでした。

これは一般論で、Cさんがそうだとは言いませんが、営業職の場合、転職活動の面接では、「数字にこだわってこれまで実績をあげてきました」などと自分を高めに売り込んでしまい、後々トラブルとなることがよくあります。

実際に転職して営業を行うと、なかなか思ったように実績があがらない。採用した企業も、転職者には即戦力を求める傾向が強く、実績をあげるよう厳しいことを言いますから、関係性が悪くなってしまうことが多々あるのです。

それをそのまま転職したい理由として言うことはできないので、「社長とそりが合わない」とか、「社長に戦略がない」「商品やサービスの質が悪い」などと自分以外の何かが悪いからだと言うパターンが多いのです。

過去に転職経験がある人、特に回数が多い人に対しては、面接時に必ずと言っていいほど、企業は退職理由を聞きます。このときに「社長に戦略がない」「商品やサービスの質が悪い」などと答えるとまず採用されません。そんな文句ばかり言っている人を採用したい企業などないからです。

ただ、転職には「運」や「縁」の要素もあるので、たまたま空いたポストにうまくはまって求職者にとっても企業側にとっても良い転職になることもまれにあります。だから、Cさんもあきらめる必要はないのですが、転職回数も多く、47歳という年齢の中で他責的な言動をしがちな現状を考えると、あまり条件の良くない歩合給型の仕事しか紹介できない状況で、今度こそは固定給型をと希望しているCさんの転職はまだ決まっていません。

例外は外資を渡り歩く「キャリアアッパー」

転職回数が増えれば増えるほど不利になると述べましたが、転職回数が同じ7回であっても、ある1年間で3~4回転職していて、最後の会社には10年間勤めていたといった場合には、それほど不利にはなりません。同じ転職回数でも、企業側からの見え方がだいぶ違うからです。

実は企業が一番嫌う経歴が、「2年、3年、2年」と一定の短い期間で転職しているCさんのようなパターンです。どこも長続きしていないと、この人を採用しても、また数年で辞めるだろうと思います。企業としては安くない採用コストを払う以上、長く働いてもらいたいと考えるのが一般的です。

例外は、超有名企業や外資系企業を渡り歩いている人です。日本航空からアマゾンに転職し、その後、オラクル、グーグルなどに転職して現在7社目、みたいな人は45歳を超えていても転職に不利はないでしょう。

外資系企業では、こうした転職を繰り返す働き方をする人のほうが当たり前で、1社にずっと長く勤める人のほうがまれです。特に、金融業界やIT業界、コンサルティング業界などがその例です。

1000万円の年収の仕事から、転職して1200万円になり、次の転職で1500万円、そして、今は2000万円以上の仕事を探していますといった人もごく少数ですがいらっしゃいます。

こうしたハイパー転職者は、転職を繰り返すことで、「キャリアアッパー」になることができますが、多くの人はこうしたキャリアアッパーを夢見てどんどんと可能性を狭めてしまう「ジョブホッパー」になってしまうのが現実です。

では、Cさんはどうすればよかったのでしょうか。少なくとも、これまでのキャリアが「ジョブホッパー」的なマイナスの要素で見られるということを前提にしたうえで、自らのこれまでのキャリアについて、自責的に前向きに話していく必要があったのではないかと思います。

特にミドルの転職の場合、プレーヤーではなく幹部候補であるマネジャーとして採用したいという企業も一定数存在します。少なくとも、過去に営業部長などの責任ある立場を経験した人であれば、このような他責的な言動は百害あって一利なし、と心得ておきましょう。

まとめ

何が悪かったのか

  1. 「長期間の勤務経験がなかった」
    3年前後の転職を繰り返したため、次第に不人気企業への転職という悪いスパイラルにはまってしまった。一方、同じくらい転職回数が多くても期間にメリハリのある人は評価されることも。
  2. 「常に他責でものを考え、それが行動に現れてしまっている」
    名ばかり営業部長でプレーヤー目線の愚痴ばかり。年収にこだわるけれども、歩合給型の職業は嫌う。

どうすればよかったのか

「自分のキャリアを自責で前向きにとらえ、明確に伝える必要があった」


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