Oさん(37歳)は、インターネットを主戦場とする広告代理店の営業を●年間やっていました。特に転職を考えていたわけではありませんでしたが、友人から次のように言われたのがきっかけとなり、転職することにしました。

ネット広告代理店の営業から農業ベンチャーのIT担当へ

「ある農業ベンチャーがウェブマーケティングに詳しい人を探しているんだけど、Oさん、興味ない」

話を聞きに行くと、無農薬でつくった農作物をネットを通じて販売する農業ベンチャーだったのですが、社長は農業のほうには精通しているものの、IT技術については詳しくなく、ECサイトは専門業者に発注してつくったものの、より良い内容にしていくには、社内に専門家が必要ということで人材を求めていました。

Oさんは、「日本の農業を変えたい」と熱く語る社長の夢に共感し、自分がこれまで培ってきたウェブマーケティングの知識やスキルが存分に活かせそうなこともあり、悩んだ末にこの農業ベンチャーへの転職を決断します。

Oさん転職後、この農業ベンチャーの売上は順調に伸びており、年収は約●00万円から約●00万円にさがりましたが、仕事のやりがいがあり、お客さんの喜ぶ声も直接聞くことができ、充実した日々を送っているということです。

Oさんのように、IT化の「業界格差」を利用して、IT化がまだあまり進んでいない業界に、IT業界から転職する例はよくあります。ただ、ITの知識や技能と言っても、様々で幅広いですから、必ずしも転職後に自分のスキルを活かして活躍できるとは限りません。

抽象の梯子を今度は逆に下げて、どんなスキルが求められているのか、自分はどんなスキルをもっているのか、より具体的に企業と求職者がすり合わせることが大切になるでしょう。

IT化の業界格差で転職した例としては、たとえば、それまでノートに手書きでやっていた運送会社のドライバーの時間管理をIT化するための求人があり、工場で働く人たちの時間管理をIT化した経験のある人が転職したという事例もありました。

ほかにも、印刷会社の原価管理をIT化するための求人もありました。この求人に採用された人は、機械メーカーで原価管理に携わられていた人でした。

異業界、異職種への転職と言うよりは、異業界、同職種への転職の事例と言えるかもしれません。

事例15)小学校の「校長募集」に応募して採用されたPさん

メガバンクの支店長から小学校の校長へ

最後に、少し特殊な例ではありますが、異業界、異職種への転職で活躍している例を紹介しましょう。

Pさん(52歳)は、メガバンクの支店長でしたが、大阪市の小学校の校長公募に応募して採用されました。

通常、公立小学校の校長は経験を積んだベテランの先生がなりますが、民間企業に勤める人が校長になることで学校を活性化できるのではないか、教育内容も向上できるのではないかという発想で行われたのが校長の公募でした。

Pさんも自身の銀行での経験を活かして、保護者との関係性づくりや教員のモチベーションアップなどにアイデアを絞り、それまでの学校運営とは一味違った取り組みを数々行うことで実績を上げました。

数は多くありませんが、こうした校長の公募だけでなく、地方自治体が音頭をとる地域の街おこし事業のための人材公募などもあります。

自分の専門知識や専門技能、ポータブルスキルが活かせそうなら、こうした公募に応募してみるのもよいかもしれません。


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