面接で必ずと言っていいほど聞かれるのが、転職理由です。前の会社の辞職理由と言い換えてもいいかもしれません。

「なぜ転職したいのか」「なぜ前の会社を辞めたのか(辞めたいのか)」といった質問には、正直に答えるのが基本ですが、あまりにネガティブな理由ばかりをあげるのはマイナスでしょう。

「前の会社の社長に戦略性が感じられず、将来性がなく、給料も上がらないどころか下がりはじめ、仕事はどんどん忙しくなる一方で、残業も多く、体力的にきつくなったからです」

確かにそうなのかもしれませんが、前の会社の「悪口」と受け取られるような理由を述べると、「この人は、うちに来てもまた同じことを言うのではないか」と思われてしまいます。

やはり、転職理由もポジティブで前向きな理由を用意しておきたいものです。

「前の会社で従事していた大きなプロジェクトが終わったことで、やり切ったと感じるようになり、新しい仕事にチャレンジしたいと考えたらからです」

ネガティブよりもポジティブ、後ろ向きよりも前向き、消極的よりも積極的、受け身よりも能動的な転職理由を用意しておきましょう。

面接官が嫌う「きれいに繕われた」自己PR

「私はこれまで、営業の仕事を通じて、お客さまに喜ばれることにやりがいを感じてきました。御社の製品もファンとしてよく使わせていただいています。御社の経営方針の一つである海外進出、なかでもアジアへの進出に大きな成長の可能性があると思っています。

ぜひ御社の一員として、自分自身の可能性を広げるとともにキャリアアップを図りたいと考え求人に応募しました。よろしくお願いします」

これは自己PRでよく聞くパターンの表現なのですが、いくつかの問題を含んでいます。

まず、「お客さまに喜ばれることにやりがいを感じてきました」という表現ですが、抽象的であり、あまりに平凡で言い古された文言だと感じるのではないでしょうか。

「御社の製品もファンとしてよく使わせていただいています」も、媚を売っている印象を面接官に与えるかもしれません。

「御社の経営方針の一つである海外進出、なかでもアジアへの進出に大きな成長の可能性がある」という一文も、ホームページを見ればすぐに分かることであり、かつ理解も浅いと思われてしまう可能性があります。

「自分自身の可能性を広げるとともにキャリアアップを図りたい」というのは自分の希望であって、ギブ・アンド・テイクの「テイク」を主張しているに過ぎません。

繰り返しますが、求人企業が知りたいのは、「入社後、この人はうちでどのような成果をあげてくれるのか」です。つまり、求職者の「ギブ」こそ聞きたいことなのです。

転職後に自分ができることを「具体的」に、「正直」に、できる「根拠」を示しながら話すことが最大の自己PRになります。「具体的」「正直」「根拠」の3つがある「ギブ」を自己PRとして準備しましょう。

ちなみに、自分を大きく見せようと、できるかどうかも分からない過大なことを言う人がいますが、こうした人は、仮に採用されたとしても入社後に面接で言ったことが実現できずに苦しむことになります。結果、居づらくなってまた転職というケースがほとんどです。

やはり、自分の言葉に責任をもち、正直に自分のできること、できそうな確信のあることを面接では言うようすべきでしょう。

転職を決める前に確認すべき3つのポイント

面接の目的は、求人企業にとっては、「求職者が入社後、どのような成果をあげてくれるのか」を知ることだとすると、求職者にとっては、「入社後、どのようなことが自分にできるのか」を具体的かつ正直に根拠を示しながら伝えることです。

ただし、求職者にとってはそれだけでは不十分です。企業が求職者を値踏みするように、求職者も企業の良し悪しを判断して、本当に自分が必要とされているのか、自分が活躍できる場があるのかを見極める必要があります。

また、給与などの条件面の確認も重要になります。

こうした「テイク」は、最初に主張するのではなく、自分の「ギブ」を理解してもらったあとで、2回目や3回目の面接、採用内定の少し前という段階で行います。

確認するポイントとしては、以下の3つを意識しましょう。

  • 「環境」
  • 「ミッションと権限」
  • 「達成基準と評価基準」

1つめの環境とは、実際に自分が働く環境のこと。何部に配属され、誰が直属の上司になり、どんな業務を担うことになるのか。細かくは勤務形態やその自由度なども確認しておきます。

企業の中には、転職者の受け入れ態勢をあまり整えずに、いきなり現場に投入するような乱暴な企業もあります。こうした企業は、人手不足の企業に多く、具体的な配属先も決めずにとりあえず採用することもあります。こうしたブラック企業に引っかからないためにも、気になった点や心配な点は入社前に確認しておくべきです。

入社後、誰の指示に従って仕事を行うのか、相談は誰にできるのか、仕事の報告は誰にするのか、といったことも働く環境として確認しておきます。

2つめのミッションと権限は、何をいつまでに行うのが自分のミッションなのか、そのミッションを成し遂げるための権限は与えられるのか、ということです。ミドルクラスが責任あるミッションを遂行しようと思えば、一定の権限が必要になります。自分が約束した成果を出すためにも、最初のミッションを確認し、そのために最低限必要な権限は何なのか、それが本当に与えられるのか、与えられるとしたらどこまでの権限が与えられるのかなど、自分らしく楽しく仕事をするためにも確認しておきましょう。

3つめが達成基準・評価基準です。何をどこまで達成したら、どういう評価になるのか。最初の年収にこだわると転職自体が決まらないという失敗事例を紹介しましたが、それを避け、多少低い年収からスタートする場合には、この達成基準と評価基準を企業側ときちんと決めておく(握っておく)ことが重要で、ミッションを達成できた暁には年収がいくらアップするのかまで決めておければベストでしょう。

日本人は、こうした交渉に慣れていないため、「難しい」と感じるかもしれませんが、後悔しないためには、入社前に最低限の確認は必要不可欠です。

求職者の最低限の確認に対して、きちんと対応してくれるかどうかも含めて、「この企業で気持ちよく働けそうか」を入社を決めるまでに見極めましょう。


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