事前に環境、ミッションと権限、達成基準と評価基準などを確認していても、入社後、本当にその通りになるとは限りません。

よくあるのが、実際に働き始めたら、社長が面接時に言っていたことと現実が著しく違うというパターンです。社長は好きなことを言いますが、現場はそれらをすべて知っているわけではないですし、社長が言ったとおりにすると仕事が回らなくなることもあります。ですから、与えられると言われた権限が実際には与えられないということもあります。

こうした点も含めて、「転職直後の中途採用者は、アウェイで戦うことになる」ことを肝に銘じておくとよいでしょう。

アウェイでの戦いは孤立しやすく、完全に孤立してしまうと、できる仕事の幅が狭められてしまいますから、孤立しないように入社時から積極的に自ら動き出すことが重要になります。

入社後の心得として知っておいてほしいのが、「カルチャーフィット」「焦らない」「同志の獲得」という3つです。

  1. カルチャーフィットとは、その企業の文化や風土、社風、理念、考え方、価値観などに自分がどれだけ合わせられるかということ。
  2. 企業カルチャーは長い時間をかけてつくられてきたものですから簡単には変わりません。ですから、自分のほうがそれに合わせるしかないのです。
  3. いくら仕事の内容が自分のやりたいことだったとしても、企業カルチャーに合わせることができないと仕事はまずうまく回り出しません。

特にミドルは、高いポジションに就くと経営者ともしょっちゅう話をする機会があり、経営者と価値観のずれがあることが分かると、一瞬で居づらくなるケースすらあります。

企業カルチャーは、入社してみないと分からないことも多いため、入社後の心得としましたが、入社前に同じ職場の同僚になる人たちと話す機会を用意してもらったり、直接の上司となる人との会席をセットしてもらったりするなど、工夫次第である程度は分かります。

「社風を知って、その中で活躍できるかどうかを知りたい」「すぐ活躍できるように、もう少し内部のリアルな情報を知りたい」ので、「自分と同じぐらいの年齢、経験の人と会わせてもらえませんか」と採用担当者にお願いしてみるとよいでしょう。

中途採用者にとって「焦り」は禁物

ミドルの中途採用者は、即戦力として期待されていることが多いこともあり、すぐに結果が出ないと周りの目が厳しくなり、焦りが出てきます。焦れば焦るほど悪循環にはまりやすく、結果も出ませんから、中途採用者にとって焦りは禁物なのです。

特に、「3カ月で結果を出せ」などと社長から言われていると大変です。社長に期待されて入社してくる中途採用者は、前からいる社員にとっては嫉妬の対象でしかなく、「まずはお手並み拝見」とばかりに冷徹に見られているため、支援もなかなか受けられません。

そんなアウェイな環境で短期間に結果を出すのは至難の業です。

会社のスピード感にもよりますが、普通の会社なら最初の3カ月は、結果を出すことよりも、「誰がキーマンなのか」「誰を怒らせると仕事が進まなくなるのか」など、人間関係や力関係を知るための期間だと割り切っておいたほうがよいでしょう。

こうした観察期間をおかずに1日目からいきなり自分流のやり方で仕事を始めると、たいていは周りの社員の反発を招き、足を引っ張られるなど、その後の仕事にも悪影響を及ぼすことになります。

まずはその会社に馴染むことを優先し、馴染んでから少しずつ自分の色を出していったほうが成果も出やすいものなのです。

こうしたことを考慮すると、入社前に3カ月や半年といった短期間で成果を出さなければならないような約束はしないほうが無難でしょう。

最初の3カ月でやっておきたいもう一つのことが仲間づくりです。社内の人間関係の相関図などを描きながら、その会社に馴染んでいくとともに仲間をつくります。

ミドルに期待されている仕事は、一人ではできない仕事が大半です。社内の人間関係を押さえたら、キーマンと仲良くなる努力をしたり、部下の信頼を勝ちとったりすることで、横の関係を築いていきます。

なかでも、問題意識や価値観が近く、自分の同志と呼べるような存在の人を見つけ出して信頼関係を構築することができると、支援が得られやすくなり、断然、仕事がやりやすくなることでしょう。

カルチャーフィット、焦らない、同志の獲得は、どれも地道な努力を重ねれば、誰にでもできることです。

即戦力として期待されているからといきり立って初日から全速力で飛ばすよりも、まずは準備体操から始めるような余裕をもって転職後の仕事を始めたほうが、結果として早く成果が出るものなのです。


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