これからの20年間は、これまでの20年間よりもさらに体感速度がスピードアップする可能性があります。仕事や働き方の変化の大きさも、AIやロボットによって、もっともっと大きなものになるかもしれません。

実は、こんな話があります。

日本で科学技術庁ができたのは1956年ですが、このとき、50年後に実現しているであろう技術を当時の科学者が100個予測してタイムカプセルに入れて埋めました。

50年後の2006年、そのタイムカプセルが開けられるという新聞記事を読んで、私は科学技術庁と文部省が統合された文部科学省に行き、予測がいくつ当たったのか、確認してきました。

50年前に予測された技術100個のうち、いくつ本当に実現できていたと思いますか?

答えは、40個。実に4割の予測は実現していたのです。

ドラえもんに出てくるタケコプターのような一人ひとりが空を飛べるようになるといった奇想天外な技術の予測は外れましたが、当時、7時間以上かかっていた東京・大阪間が、夢の超特急で3時間ぐらいで行けるようになるという予測は当たりました。

洗濯板を使った洗濯から解放してくれる全自動洗濯機ができているという予測も当たりました。

その時、私が感じたことは、「人々を苦痛から解放してくれるような技術」は実現しており、そうではない単なる希望や夢の技術は実現していなかった、ということでした。

やはり人間は合理的な生き物で、まずは自分たちの不便さや苦痛などを解消してくれる技術の開発に取り組んだ結果なのだろうと思います。

戦後から2000年ごろまでの技術的進歩の土台となったのは電気でした。電気によって洗濯機、炊飯器、掃除機、テレビ、電話などの家庭電化製品が生まれたことで生活が非常に便利になりました。

しかし、これからの50年間で起きる技術的進歩の土台となるのはインターネットです。さらに、AIやフィンテック、ブロックチェーンといった新技術も次々と登場しています。おそらく、電気の発明よりも大きな変化――「生産性革命」が起きることはまず間違いないでしょう。

「昭和的発想」から一刻も早く脱却せよ

こうした技術革新による大きな変化に備えるためには、一度、これまでの古い価値観をゼロリセットする必要があるのではないでしょうか。

たとえば、有名大学への入学競争は、有名大学に入れれば一流企業に入れ、一流企業に入れば一生安泰というレールがあったからこそ、誰もが競争に参加したわけですが、一流企業に入っても一生安泰とは言えなくなっていることは、シャープや東芝を見ても分かります。

資格を1つでも多くもっていることが、就職や転職に有利だったのも昔の話。いまだに「どんな資格をとると転職に有利になりますか?」と聞いてくる人がいますが、そんな資格はありません。弁護士や会計士といった資格をもっている人でさえも、AIに置き換えられ始めているのですから。

そもそも、「有名大学に入れば」「一流企業に入れば」「高度な資格をもっていれば」と考える昭和的な発想をすること自体がリスクなのです。

お金の稼ぎ方にしても、企業に勤めるしかないと思い込んでいないでしょうか。それも昭和的発想です。個人事業主として雇われない働き方もあるにもかかわらず、その可能性をまったく考えていない人が大半です。

お金についても、とにかく多く稼げるほうがいいと思っているから、転職の際にも年収が条件の一番になり、選択の幅を狭めてしまうのです。

自分が、自分たち家族が、気持ちよく生活していくためにはいくら必要なのか。きちんと把握している人は意外に少ないのではないでしょうか。500万円あれば1年間十分に楽しい生活ができる人もいれば、1000万円あっても不満ばかりの生活という人もいます。

人生100年時代に向かっているから老後が不安だと言う人も多くいます。しかし、そうした人に限って、いくらあれば不安がなくなるのか、具体的な金額を言えません。ただ漠然と不安を感じているだけで、そのために何をどうすればいいのか、何も具体的には考えていないのです。

また、老後が不安だからとお金を稼ぐことばかりに気をとられ、今を楽しむことを忘れてしまっている人も散見されます。老後のために今を生きているのだとすれば、それは本末転倒以外の何物でもないにもかかわらず……。

独立事業主や職人という選択も

重要なことは、老後を心配するよりも現在の生活を楽しむことであり、一日一日を充実させることで一回きりの人生を満足度の高いものにすることではないでしょうか。そのためには、人生の大きなウエイトを占める仕事についても、よくよく考える必要があります。

大きな変化が起きた際には、変化が起きる前のシステムやルールの中で機能していた価値が壊滅してしまうことは、歴史が証明しています。まずは、変化後、「どのような人材であれば活躍できるのか」を自分なりの視点で想像してみてください。

これからの時代は、どうやればいいかがわかるマニュアルのない世界です。その世界で生きていくには、暗闇の中でも手探りで独自の地図を描いていける「自走性」こそが大事になります。

既成の権力や成功パターンに頼らず、自立自走で考えて生きる、という習慣を手にしたうえで、インディペンデントコントラクター(専門スキルを持った独立事業主)としてキャリアを構築できるかどうかにトライし始めるのも1つの方法です。

独立事業主と言っても、会社を辞めなければいけないわけではなく、会社に勤務しながら、自分の仕事の「契約内容」や「成果」「価格」といったことを考えることで、仮想的に挑戦を始めることも可能です。

変化の時代を生き残るための方策としては、IT技能や英語などのスキル学習の話題になりがちですが、むしろそれ以前に、働き方のスタンスを自律的なものに切り替えることのほうが重要なのではないでしょうか。

もしホワイトカラーに限定せずに、スキルフルな世界で「生産性革命」を生き残ろうとすると、農業技術者や料理人、建築関連の職人など、デジタルの影響を受けにくい世界でのスキル習得は、まだまだ有効だと思います。

新しい価値観をもつことが難しいと感じたり、変革との共存にモチベーションがもてないという人は、職人のようなリアルな世界でのスペシャリストを選ぶほうが良いかもしれません。


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