40歳を超えても「理想の転職」ができる人の5つの資質

総務省が4月27日に発表した労働力調査(2018年3月分)によると、65歳以上の正社員は全国で103万人と、過去10年間で6割も増加しているそうです。人生100年時代の足音が確実に迫る中、40歳を過ぎた転職者は、「希望がかなった満足組」と「妥協しながら何とか職につけた不満組」が二極化しつつあります。立ちはだかる「年齢の壁」をものともせず、理想の転職を実現するにはどうすればよいのか。成功者に共通する素養と企業選択のポイントについてまとめてみました。

「60歳以降も働きたい人」81.8%

内閣府が2013年に公表した「高齢期に向けた『備え』に関する意識調査」では、60歳以降でも働きたいと考える人が81.8%に上りました。年齢に関係なく元気なうちは働き続けたいという方は、今後さらに増加しそうです。リーマン・ショックから10年が過ぎ、企業の人手不足が年々深刻化するのに伴い、40代や50代の転職にも追い風が吹いているというニュースが増えています。

しかし、実態はどうでしょうか。確かに転職先が決まった人数は増えているものの、40代以上の転職においては、「希望に近い仕事や条件で転職ができて満足度が高い人」と、「希望した条件では転職先が見つからず、転職先選びで妥協せざるをえなかった人」という二極化が進んでいます。

相対的に、現職を続けながら転職活動をした方は、急いで転職先を決める必要がないため満足度が高い転職をしやすく、いったん離職してから転職活動している方のほうが、時間的な制約があるために不本意な転職を余儀なくされる場合が多くなります。

私が転職相談でお会いする方には、できれば仕事を辞めずに転職活動することをお勧めしていますが、会社が倒産してしまったとか、パワハラでこれ以上会社に居続けられないというような、離職が先行することを避けられないケースもあります。

60歳を超えても長く働いていきたいというときに、自分にとって満足度が高い職場・仕事に就けるか、逆に不本意な仕事でも妥協しながら続けるのかによって、精神的な充実度は天と地ほど差が生まれます。ミドル世代になっても、自分の希望に近い転職先を手に入れることができる人は、何が違うのでしょうか。

転職に成功するミドルの5つの共通点

私がこれまで転職相談でお会いしてきた中で、建設業界やIT(情報技術)業界のように、極端に需要と供給のバランスが不均衡な「売り手市場」のキャリアでなくても、転職市場で高い評価を受ける方の素養的な共通点を5つご紹介します。

1.誠実さ

なかなか定量化しづらい要素なのですが、最大の共通点は、人との約束を守り、期待を裏切らない人です。精神的な波や、忙しい時もそうでないときも安定した判断やコミュニケーションができるため、面接においても、作為的でなく自然な安心感を与えます。あまりに四角四面になりすぎるのは考えものですが、転職活動に限らず、社会人にもっとも重要な資質であることは間違いありません。

2.ストレス耐性

この能力のある人は、予想外の事態に直面しても冷静な判断力で、周囲に影響されずプレッシャーに対処できるようです。逆にストレス耐性が低い人は、自分の置かれた環境や状況によって仕事のパフォーマンスが上下するリスクを抱えがちです。また、ストレスに強い方は、修羅場的な経験を「成長のチャンス」ととらえ、ネガティブな状態を逆手にとってより強くなるという好循環の傾向があるようです。

3.自責性

不本意な事態に直面したときに、まず自分の責任(自責)から考えるか、自分以外の誰かの責任(他責)から考え始めるか、ここには大きな違いがあります。他責的な人はどうしても失敗を繰り返しやすく、自責性が高い人は周囲との協働性や成長性が高い傾向があり、このポイントを人物評価の重視項目とする企業は想像以上に多いと思っておいたほうがいいかもしれません。特に、面接における退職理由についての質問や、過去の成果についての質問で、自責性や客観性のレベルを確認する経営者や人事責任者が多いようです。

4.あいまい耐性

切り抜ける方法が見えない、未知の課題に直面したときに、方法がわかるまで立ち止まってしまうのか、すべてが見えきれなくても前に進むことができるのか、という行動パターンを示すのが、あいまいさへの耐性です。ベンチャー企業や中小企業では、経営について見通しが予測できることは限られていて、霧の中のような状況や、あいまいさを抱えたまま意思決定を迫られることも多々あります。そのため、秩序だったマニュアルがなくても前進しながら経験値を積み上げていける、不透明さへの対応力が求められる傾向があります。

5.リスクへの覚悟

リスクをとる覚悟がある人は、先に進めば困難な状況に陥ることが明白でも、「この問題を乗り越えたら得られる長期的な利益」を予測して前に進むことができます。その原動力が「おもしろそうだ」という好奇心なのか、「壁を越えたい」という競争心なのかは人それぞれのキャラクターですが、結果が見えないことを過度に恐れず、意思決定できる人は、やはり得られるゲインも大きくなる傾向があります。

これらの素養は絶対的なものではありませんが、転職市場で強いミドル世代の共通点として見逃せないものばかりです。

企業選択のポイント、成長性とミドル活用に

また、満足できる転職先を見つけたミドル世代の方々に共通するひとつの観点は、「企業の選択眼」にあるといっていいかもしれません。

成長率が低かったり、短期間に頻繁に人が入れ替わったり、腰を落ち着けてじっくり仕事に取り組めない性質の企業を避け、人生後半のラストキャリアを懸けるにふさわしい企業を見つける力量の有無が大きな分岐になっています。

結果として、従業員数300人以下と比較的小規模で、なおかつ高い成長を継続している会社に、その方のスペシャリストとしての経験を買われて入社するというパターンが、最も満足度の高い転職を実現する確率が高くなります。

また、企業の従業員活用の考え方、哲学の中に、「事業成長に貢献してくれる人材ならば、年齢に関係なく活用し、分け隔てなく評価する」というエッセンスがあれば、より一層成功率が高まります。

ネット求人大手のエン・ジャパンが昨年実施した「ミドル人材の採用」に関するアンケートによると、8割の企業が過去3年以内にミドル世代の人材を中途採用で受け入れた経験があり、4割の企業が「3年前よりもミドルの採用人数を増やした」と回答しているそうです。ミドル世代人材の活用に積極的な企業が増加している事実は、心強い限りです。

ちなみに、採用された職種のトップ3は、営業職、企画職、技術系(IT・ウェブ)。さらに注目したいのは、受け入れ段階での役職。ミドル世代の人材を採用した企業のうち、実に72%が「役職なし」での採用だったそうです。

ミドル世代をフラットに受け入れる企業は、必ずしも管理職として厚遇するわけではなく、「一人のスペシャリスト、一人のプレーヤーとして、年齢に関係なく事業への貢献を求める」というスタンスを持っているのかもしれません。こうした傾向も、今後のために、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

 ※この記事は日経電子版「NIKKEI STYLE」に掲載されました。CR40を運営するルーセントドアーズ株式会社代表の黒田真行が執筆しています。


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